- 令和2年7月14日からコロナウイルスの影響を受ける事業者への家賃支援給付金の申請が始まりました
- 家賃支援給付金の支給要件は持続化給付金よりも甘い?
- 家賃支援給付金の対象者
- 家賃支援給付金の売上減少要件とは?
- 売上減少期間等についての救済要件について
- 対象となる家賃等に関する要件
- 家賃支援給付金の算定対象となる家賃等
- 家賃支援給付金の算定対象となる「家賃等」の要件に関する注意点
- 家賃支援給付金の給付額の算定方法
- 家賃支援給付金の受給額を最も大きくするには?
- 地方公共団体から賃料にあてるための支援を受けている場合の減額規定
- 家賃支援給付金の申請に必要な書類
- 家賃支援給付金の申請方法
- 家賃支援給付金の申請代行は行政書士が行えます!
令和2年7月14日からコロナウイルスの影響を受ける事業者への家賃支援給付金の申請が始まりました
令和2年7月14日から、新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言の延長等により、売上の減少に直面する事業継続を支援するための「家賃支援給付金」の申請が始まりました。
この家賃支援給付金の特徴は、「持続化給付金」の支給要件と類似していることや、持続化給付金の支給要件に外れる事業者でも受給対象となる可能性があることなどです。今回は、経済産業省から発表されている資料から、この家賃支援給付金の特徴や注意点についてご説明したいと思います。
※家賃支援給付金や持続化給付金については法人と個人事業主で要件等が異なりますので、それぞれの事業形態ごとの要件等をご確認ください。
家賃支援給付金の支給要件は持続化給付金よりも甘い?
家賃支援給付金は、法人最大600万円、個人事業主最大300万円の支給がされるという大きな額の支援金となります。家賃等に対する支援金であるため、該当する事業者は持続化給付金よりも少なくなることが見込まれますが、それでも多くの事業者が申請要件に当てはまることと思います。
この家賃支援給付金は、新型コロナウイルスによる売上の減少に対応する支援金、「持続化給付金」と支給要件(売上に関する計算方法)が類似していますので、持続化給付金の支給要件に当てはまっており、家賃を支払っている事業者は高確率で支給対象となることが考えられます。
また、持続化給付金の減少売上要件に該当することができなかった事業者にも、救済的な要件が追加されており、支援を受けられる対象範囲は広く設定されています。
家賃支援給付金の対象者
家賃支援給付金の対象事業者は以下のとおりです。
また給付の対象外となる事業者は以下のとおりです。
事業の種類としては多くの企業が対象となっており、そこに「売上減少要件」と「賃貸要件」により支給の有無が判定されるという仕組みです。持続化給付金と同様、2019年から事業を行っていることが原則となり、売上減少の対象期間は2020年5月から2020年12月までの間となっています。
しかし、経済産業省の発表では「2020年1月から2020年3月までに設立した事業者や主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した事業者も給付の対象にする方向で検討している」ということから、今後は対象者についての救済的な要件が追加される見込みです。
家賃支援給付金の支給要件についての大きなポイントは「売上減少要件」及び「賃貸要件」になりますので、この2点について詳細に解説していきます。
家賃支援給付金の売上減少要件とは?
家賃支援給付金の支給要件のうち、大きなポイントとなるのが「売上減少要件」です。持続化給付金と類似する部分と今回新たに設定された救済部分があります。
持続化給付金と類似する算定部分
「2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、いずれか一か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っていること。」
経済産業省で掲載している例によると、2019年の5月の売上が「40万円」、2020年5月の売上が「16万円」と2つの月を比較すると50%以上減少していることがわかります。これで売上減少要件はクリアできます。
家賃支援給付金独自の売上減少要件
次に、今回のポイントとなる、家賃支援給付金独自の売上減少要件「2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っていること。」についてです。下記の画像をご覧ください。
上記の例では、2019年5月から7月までの売上と2020年の5月から7月の売上の合計額、「210万円」と「120万円」を比較して、30%以上の減少となることから売上減少要件クリアとしています。
2019年の任意の3か月間と2020年(5月から)の任意の3カ月間を比較できることから、ハードルは下がったと言えるでしょう。
申請期限は2021年1月15日までなので、今現在支給要件に該当していなくても、期間内に支給要件に該当する可能性もあります。
売上減少期間等についての救済要件について
売上減少期間等についての要件に関する救済対象事業者についても持続化給付金と同様、特例事業者の範囲を広く設定しています。
直前の事業年度の確定申告が完了していない事業者や、新規創業した事業者、合併を行った事業者等です。これらの要件については複雑であるため、個々の状況についてしっかりと調べる必要があります。
対象となる家賃等に関する要件
家賃支援給付金は、文字通り家賃等に対する支援給付であるため、自己所有の物件等に対しては給付されません。対象となる物件については以下の通りです。
「他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。」という条件となります。
「他人の土地や建物」を事業のために「直接占有」し、「賃料の支払いを行っている」という条件がありますので、「自己所有」や「専ら住居としての占有」、「無料」などの条件などでは給付金は受給できません。
また、個人事業主については、住居兼事業所の場合は、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみ給付の対象となります。
家賃支援給付金の算定対象となる家賃等
家賃支援給付金の算定対象は「家賃等の額」となります。
契約方法は「賃貸借契約」のみとなり、算定となる対象の費用は「賃料」及び「共益費・管理費」となります。「売買契約」についてはそもそもの対象とならない他、「光熱水費」や「修繕費」等は算定対象に含まれません。
家賃支援給付金の算定対象となる「家賃等」の要件に関する注意点
家賃支援給付金の算定対象となる契約及び費用について
主な注意点としては、土地に関しての名目が賃料ではなく「地代」となっている場合は算定対象に含まれるということや、共益費及び管理費が賃料について規定された契約書と同じ契約書内で規定されている場合でないと対象とならないこと、対象となる賃料及び共益費・管理費には消費税を含むことなどが挙げられます。
家賃支援給付金の算定根拠となる契約期間
家賃支援給付金の支援対象となるには、以下の3点全てにあてはまる必要があります。
- 2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること
- 申請日時点で有効な賃貸借契約があること
- 申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があること
2020年3月31日時点及び申請日時点で賃貸借契約の元物件を使用しており、申請日より3か月前までの月に実際に賃料を払っているという要件が必要です。
途中で他の物件に引っ越したり、管理会社が変わったり、契約内容に更新等があった場合も対象となりますが、前後それぞれの契約書が必要となります。
家賃支援給付金の算定根拠とならない契約について
以下のいずれかにあてはまる契約については家賃支援給付金の算定根拠とはなりません。
転貸を目的とした取引や、賃貸人と賃借人が同じ人物(または実質的に同じ人物とみなされる場合)の取引、親族間での取引については算定される契約からは除外されます。
「実質的に同じ人物」とは、親子会社の関係にある場合や、社長などが親族関係にある場合のことをいいます。
必要な契約書等の書類が準備できない場合の救済措置
典型的な賃貸借契約を結んでいる事業者の場合は契約書を添付すれば良いのですが、契約書や賃料の支払い実績を証明する書類を紛失してしまっている場合や一般的ではない契約方法で利用している場合について、救済対象となる場合があります。
要件等については複雑な点がありますので、各自の状況に合わせて規定をしっかり調べておく必要があります。
家賃支援給付金の給付額の算定方法
それでは、重要なポイントとなる給付額についての説明です。法人と個人事業主とで給付額の算定方法は変わりありません。法人と個人事業主で異なる点は、「最大受給額」と「支払賃料の基準額」のみです。「法人は個人事業主の2倍の受給額」といったイメージです。
【法人の給付額】
法人の最大受給額は600万円。算定方法で使われる基準額は75万円です。一か月の家賃等が75万円までは50万円を受給でき、それ以上の場合は、50万円+超過した家賃額の三分の一を受給できるといったイメージです。
【個人事業主の給付額】
個人事業主の場合も算定方法は同様です。個人事業主の最大受給額は300万円、算定に使われる基準額は37.5万円となり、法人の場合の半分程度の受給額といったイメージです。
なお複数の土地や建物を借りている場合は、全ての賃料を合計した額が「支払い賃料」となります。
算定方法の基礎金額
給付額は、「申請日の直前一か月以内に支払った金額」を算定の基礎とします。給付額の上限は月額100万円です。
給付金の申請を行う直前一か月以内に支払った賃料を元に給付金が算定されるため、申請の時期によりもらえる給付金の額が変わる場合があります。
基準となる賃料の算定方法の注意点
2020年4月1日以降に賃料の変更があった場合は、2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている一か月分の金額と比較して低い金額を給付額の算定の基礎とします。
また、「賃料が売上額に連動している場合」など、月ごとに変動する場合は、申請日の直前に一か月分として支払った賃料の金額と、2020年3月に賃料として支払った金額を比較し、低い金額を給付額の算定の基礎とします。
家賃支援給付金の受給額を最も大きくするには?
以上のように、家賃支援給付金は申請月により受給額が大きく変わる場合があります。
上記の図で、もし4月~6月の賃料を限定的に「20万円」と安くしてもらっていた場合、7月に申請すると基準額は20万円となってしまいますが、「8月」に申請をすれば基準額は「40万円」となります。
新型コロナウイルスの影響で一部減額して賃料を納めている事業者も多いと思いますので、この点については注意が必要です。
地方公共団体から賃料にあてるための支援を受けている場合の減額規定
申請者が地方公共団体から賃料に充てるため、中小企業等家賃支援給付金や中小企業等賃料補助金などの支援金を受給している場合や、これから受給することが決定している場合、家賃支援給付金が減額されることがあります。
家賃支援給付金の給付予定額と地方公共団体から給付される家賃支援額の合計が申請者が一か月分として支払った賃料の6倍を上回る場合、家賃支援給付金の給付予定額から超過分が減額されます。
逆に家賃支援給付金と地方公共団体からの支援金の合計額が賃料の6倍を超えなければ減額はされません。
家賃支援給付金の申請に必要な書類
家賃支援給付金の申請に関する書類については、簡単にイメージすると「持続化給付金の申請書類」+「家賃に関する書類」と考えて良いでしょう。事業者情報に関する書類と売上に関する書類は持続化給付金の申請で使用したものとほぼ同様です。
ただし、持続化給付金と今回の家賃支援給付金で売上減額の算定をする基準月が異なる場合が多いでしょうから全く同じとはなりません。
また、申請に用いる売上台帳には「対象期間や月がわかるよう下線を引くこと」とされましたので、ご注意ください。
家賃に関する添付書類を大きく分けると、
- 賃貸借契約書の写し
- 直前3か月間の賃料の支払実績を証明する書類
の2点です。
賃貸借契約書については、各申請情報が記載されている部分について印をつける必要があります。
また、直前3か月の賃料の支払い実績を証明する書類については、いくつかの種類の書類の中から任意で選択できるようになっていますので、入手しやすい書類で申請することが可能です。
家賃支援給付金の申請方法
家賃支援給付金の申請方法は、持続化給付金と同様、原則「電子申請」となります。電子申請が難しい方は「申請サポート会場」において補助員が入力サポートを行ってくれますが、混雑が予想されます。
また、家賃支援給付金専門の相談ダイヤルも開設されていますが、持続化給付金同様長時間つながらない状況が考えられるため、時間の余裕を持って申請手続きを行いましょう。
家賃支援給付金の申請代行は行政書士が行えます!
今回の家賃支援給付金は、持続化給付金よりも添付書類が多く、申請手続きが大変に感じられる方も多いと思います。
家賃支援給付金や持続化給付金の代理申請は行政書士及び弁護士のみ行うことができます。行政書士花村秋洋事務所でも全国対応での代理申請が行えますので、ご自分で申請を行う手間を省きたいという方はぜひご利用ください。
当事務所では、持続化給付金をすでに受給している方で、持続化給付金の申請書類をご用意されている方には、お安い料金で家賃支援給付金の申請を行っております。
※大変申し訳ございませんが、業務多忙のため、家賃支援給付金及び持続化給付金についてのご相談のみのご利用はご遠慮いただくようお願いいたします。
行政書士花村秋洋事務所の家賃支援給付金代理申請料金等
申請前:着手金10,000円(税別)
受給決定後:支給決定金額の8%(税込)
【すでに持続化給付金の受給を行っている場合】
申請前:着手金10,000円(税別)
受給決定後:支給決定額の5%(税込)
※持続化給付金の受給が証明できるもの(通帳のコピーまたは受給通知のコピー等)の提示が必要となります。
(持続化給付金とセットの申請でも5%の報酬で対応可能です)