規約の無い習い事でのトラブルが多発
ほとんどの親御さんが子供の習い事をさせているかと思います。
塾に限らず、水泳、ピアノ、サッカー、習字、英語、現在は色々な習い事がありますね。
また、成人の方やご高齢の方でも絵手紙やフラワーアレンジメントなど、色々な習い事が流行していますね。
今回は習い事をする側ではなくしてもらう側、「先生」の立場でのお話です。
習い事の先生は特技があれば一般の市民の方でも可能です。お習字の資格を取った方、ずっとサッカー競技をやってい方、日本に住む外国人の方などは思い立てばすぐに習い事の先生になれる可能性があります。
それを仕事としてやっていくつもりではないけど休みの日に好きなことをして人を育ててみたい。などの副業型の先生もいると思います。
ではいざ習い事の教室を開いてみようと思った方、何から始めようと思っていますか。
内容、場所、月謝等、基本的な事項ももちろん重要なのですが、皆さんが忘れているとても重要なものがあるのです。
習い事の規約とは?
それは「規約」。習い事についての取り決めを文書で残すことです。
これがないと後々トラブルを起こすことにつながる。トラブルが起きたときに困ることはもちろんのこと、規約を作っておくことでトラブルを未然に防ぐこともできるのです。
趣旨の食い違い
例えば習字教室の場合、趣味で行っているので一回1000円くらいの低価格で児童を入会させたとしましょう。
先生側の趣旨としては高いレベルを目指すのではなく、まずは習字に慣れてもらいたい、字を書くことを楽しんでもらいたい、という社会貢献性の高い内容を考えていました。
それなので先生側としては「低価格で趣味でここまでやってるんだからそれほど何かを求めてくることはないだろう」と思いますよね。
しかし入会した側は違います。
価格に関わらず先生と名乗り教室を開いているのだから全てプロ、一級の教えをしてくれるはずだ。
先生側の趣旨は伝わっていないのですから後からそれを伝えたとしても「話が違う!」となってしまうのです。
月謝と実費料金
また、特別に料金がかかる行事があったとしましょう。年に数回の教室内での季節行事や交流イベント、また競技会や大会がある習い事だって多くあります。
そんな時、その都度実費を徴収しようと思った時にトラブルが発生します。
「月謝に入ってるんじゃないの?」
先生側としては「そんなはずあるわけない!」と思ってしまうでしょうが、これも入会時に説明できていないため、トラブルが発生してしまう可能性が高いのです。
そのため習い事には「規約」が必要なのです。
習い事の規約に織り込みたいことは
先ほどの例で言うと、先生側、教室側の趣旨を伝えるためには規約の中で「趣旨」についての記述を加えます。
そして習い事に申し込んだ側は(もちろん子なら保護者)教室の趣旨に賛同しました、理解しましたという状態を作ります。
イベントや大会の実費徴収については、規約内に「イベントや大会参加には別途実費を徴収する」旨の記述を入れます。
両者とも書面で作成した規約をよく読み、内容を同意したことによるサインをいただいたり、印鑑をいただいたりすることにより「話が違う!」という状況を回避するのです。
もしトラブルとなっても「規約に書いてある」ということで相手側は不利になりますし、そもそも「規約に書いてある」ことに反発する者は少ないはずです。
規約があることでトラブルが発生する前に未然に防いでいるのです。
アレンジも可能
ちょっと固い内容にするなら「合意管轄」に関する条項も良いでしょう。
この「合意管轄」とは、「トラブルになった場合の裁判所を決める」条項です。
もちろん裁判ごとになるなんてこちら側は御免なのですが、規約に載せておくことで相手方も心情的に少々覚悟を持ってもらえるでしょう。
そんな効果も発生させることができるのが規約を作成するメリットにもなりますね。
規約作成のデメリットは?
しかし厳しい規約を作成しておくことでのデメリットも考えられます。
「こんな厳しい規約なら入会はやめておこう…」と感じてしまう人も一定程度はいるということです。
そのため、あまりにも厳しい内容の規約はおすすめできませんが、ある程度しっかりとした規約を作成したのであれば「規約による入会拒否」についてはあまり気にしないことです。
規約による入会拒否をした方は、そもそもその規約に記載してあることが守れない可能性があるということを薄々認識しているわけですから。後々のトラブルを回避できたとプラスにとりましょう。
規約を作成するのはなかなか難しい
どんな規約を作るかは教室の趣旨、特性などにより様々ですが、自分だけで作る時は「無効」な条項に注意しましょう。
いくら規約に載せてあるからと言っても、公序良俗に反し「無効」となってしまう事項はあります。
※ここでの「無効」とは、裁判になったら負けますよ。という意味での無効です。
例えば、月謝が払えなかった時の遅延損害金を法で定められた割合よりも高くしてしまう、などです。
また、「規約を守れなかったら問答無用で100万円支払う」というのも内容によっては無効と判断される可能性があります。
また、明確な記載がないことで条項が意味をなさない可能性もあります。
「大会等の参加費は速やかに支払うこととする」
「速やかに」の判断は裁判所等で認定されるまで明確にはされません。日時と違って判断が難しい事項なのです。
そのため、こちら側は大会に申し込む時にお金を支払わなければならないのに、親御さんから「大会が終了した後すぐに支払うからいいでしょう。」と言われてしまうと強制はできないでしょう。
「こちらが参加申込書を提出する際に同時に支払うこと。」
「参加申込書を提出したのち、1週間以内に支払うこと。」
などとしておけば明確になりますね。
その他、先生側としては能力に応じた役割を与えているのに「うちの子だけやらせてもらえない…」、「もっと上のクラスでやらせて欲しい」なんて声も実際に多く聞きます。
先生の裁量権についても強く設定しておくことがおススメですね。
以上のことから、「安い月謝だから良いだろう」、「小規模で知っている間柄だからトラブルは起きないだろう」なんてお考えの方は、一度規約の作成についてしっかりと考えていただきたいと思います。
「規約が教室を守ってくれている」と考えていただければ規約を作ることに大きなメリットがあるということがわかっていただけたと思います。
自分で習い事の教室を開くということは「一国一城の主」ともなるわけですから、不安要素はできるだけなくして心置きなく生徒たちを指導していけるようにしたいですね!
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