水産業協同組合法の改正で漁業生産組合の手続きが簡素化されました
令和元年4月からの水産業協同組合法の改正により、漁業生産組合の手続きに関する規定が変わりました。
これにより従来から大幅に要件が緩和されたため、漁業生産組合の規模や様態により柔軟な対応が可能となりました。
今回は水産業協同組合法の改正による漁業生産組合に関する手続きの主な緩和点についてお伝えします。
漁業生産組合の設立要件の緩和
令和元年4月の水産業協同組合法の改正では、まず漁業生産組合の設立要件が緩和されています。
最低人数の要件が7人から3人に減った
漁業生産組合の設立時の発起人は3人いれば良くなりました。
【参考:水産業協同組合法】
(組合の設立)第八十五条の二 組合を設立するには、三人以上の漁民が発起人となることを必要とする。
理事は最低一人、監事は不要(任意)
設立時の役員は理事一人で良く、監事は必要ありません(任意で設置はできます)。これは従来理事や役員を多く置き、運営の実情にそぐわない役員体制になっている組合が多くいたため、その改善を図るという意味もあるようです。
【参考:水産業協同組合法】
(役員)第八十三条の二 組合は、役員として理事を置かなければならない。2 組合は、定款で定めるところにより、役員として監事を置くことができる。
漁業生産組合の設立について行政庁の認可が届出に変わった
また、漁業生産組合の設立について、行政庁の認可が届出に変わりました。
届出ということは事後で良く、事業所を管轄する県庁の担当課へ届出書を提出する形になり、設立登記後2週間以内という期限があります。ちなみに解散登記についても同様の規定があります。
【参考:水産業協同組合法】
第八十五条のニの4 組合は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款を添えて、その旨を行政庁に届け出なければならない。
なお、設立に関して創立総会の開催も不要となっています。
漁業生産組合の運営に関しての規定の簡素化
漁業生産組合の運営に関しての規定も大幅に簡素化されました。
定款変更についての行政庁の認可が届出になった
漁業生産組合の設立に関して認可制から届出制に変わったことと同時に、定款変更についても行政庁への届出で良いこととなりました。
【参考:水産業協同組合法】
第八十四条の2 組合は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を行政庁に届け出なければならない。
決算関係書類の簡素化
漁業生産組合に課される決算関係書類の取り扱い義務が免除されました。
・注記表及び附属明細書の作成が不要となった
・決算関係書類の10年保存義務が免除
・通常総会の招集通知に際しての決算書類の提供義務の免除
・決算関係書類の従たる事務所の備え置き免除
漁業生産組合が株式会社に組織変更することが可能になった!
今回の改正で漁業生産組合が株式会社へと組織変更することが可能となりました。
従来は漁業生産組合が一旦解散をしてから株式会社を設立する必要があったのですが、組織変更をすることにより手続きがかなり簡素化されます。
新法による漁業生産組合から株式会社への組織変更の流れ
新定款の作成
↓
組織変更計画書の作成
↓
総会の特別決議
↓
(反対組合員への持分払戻手続)
↓
債権者保護手続
↓
設立登記
↓
行政庁への届出
漁業生産組合の設立、定款変更等の手続きは行政書士・海事代理士花村秋洋事務所へご相談ください
当事務所では、漁業生産組合の設立手続き、既存漁業生産組合の定款変更等の手続きを取り扱っています。
総会議事録の作成から登記申請(連携している司法書士が行います)、登記後の行政庁への届出まで一連の手続きをサポートしますのでぜひご利用ください。